ここ最近、いくつかの雑誌の書評で「レッド」(山本直樹作)が
話題になっていた。私も気になって購入しようと思い、
書店めぐりをしたけどなかなか見つからなくて
盛岡に行ってやっと手に入った。
レッドという題名のとおり、連合赤軍事件が題材になっている。
登場人物名や、団体名は変更されているものの、
資料と照らし合わせたかぎり史実にごく忠実に筋書きが運んでいく。
まだ1巻なので激しい暴力シーンは少ないけど(死者は出ている)、
最終的にはあさま山荘事件にまでもつれ込むんだろうなぁと想像している。
これまでにも連合赤軍事件をテーマにした小説や映画が
いくつかあったけど、
この作品では、その後に殺し合うことになるメンバー達の日常感を
強く感じさせる。
他の作品のように内ゲバやあさま山荘事件のみを描いたものではなくて、
1969年の活動初期の頃からを追った内容なので、
血なまぐささが薄められる分だけそちらの方をより感じるのだろう。
この感じは、森達也がオウム真理教を描いた「A2」(「A」は未見)に
通じるものがあると思う。
と同時に、9.11以降の現在の視点から60~70年代を捉える行為に
なるだろうなと感じた。別の作品では、この感じを「青春」として見ることが
多かったけど(あるいは極悪人)、
それは違うなと感じていたのでこの捉え方には共感できた。
ネット上では賛否両論だけど、私は現時点では名作だと思う。
ただ、赤軍派などの暴力闘争の生き方には共感できない。この時代の運動
としてはべ平連のほうがまだ良かったのではないかと思っている。
少し話はそれるけど、たまたまネットで調べものをしていたら、
松江哲明氏が若松孝二監督の最新作「実録・連合赤軍」の先行上映を
観て、自身のブログで絶賛していたのが気になる。こちらも観てみたい。
来年に一般上映されるらしいけど、秋田ではやらないだろうな。
上京するかDVDで観ることになるだろうけどこちらも一見の価値アリだろう。
しかし前回といい今回といいもっと軽い内容にしようと思いつつ、
なかなかできないなぁと思いながら今回はここでおしまい。
...追記、後で読み直して、巻末の解説に青春群像劇と
書いてあったのでしまったと思ったが、作品の印象は変わらない
ので訂正せずにそのままにしておこう。
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