7月31日(土)の大新聞各紙(読売、朝日、毎日)に掲載された、
菅総理が記者会見上、国会議員定数の削減(主に比例区)について
言及したという記事を目にした。
(その後、8月2日(日)の各紙には、衆院小選挙区も検討と
書かれていた。)
次の日、8月1日(土)にこれまた各紙揃って
いわゆる「1票の格差」に関する記事が載っていて、
これを読んで、私はハッと気がついた。
これは、菅直人政権は議員定数削減とワンセットでゲリマンダーを
実行するというシグナルなのではないのか?
昨年の衆院選直後から、やたらと「一般市民」によって
「1票の格差」は違憲ではないかとする民事訴訟が起こされた。
それをこれまで私は小鳩前政権にたいする側面攻撃とは
認識していたが、それ以上の意図は分からなかった。
しかし、この一連の記事でその本当の意味を理解した。
この一連の司法の動きは、
「1票の地域格差を是正する」という名目で、
ゲリマンダーを行うための布石だった。
ここで「ゲリマンダー」という政治用語及び手法について
説明すると、とんでもなく長くなるので、
簡単に書くと、
「選挙で現体制側の候補者に有利になるように、選挙区の区割りを
恣意的にいじくり回す行為、及び、その結果生まれた選挙区割り」
となる。(それでもまだ長いが)
これまで、小沢一郎前幹事長とその一派に加えられた
政治的攻撃については、
①検察審査会による一連の「政治とカネ」攻撃
(これは二重基準の疑いがある)
②樽床伸二国対委員長による小沢派の内部撹乱
(これには異論もある)
ここまでは小沢派だけに対するもの。
ここからは、
③国会議員定数削減(小沢派だけでなく、
国民新党や社民党に対する勢力削ぎ落とし)
そして④ゲリマンダーが登場する。
菅総理と彼を支える七奉行たちが、
自民党などや官僚と組んで(消費税翼賛会!)、
国会議員定数削減と④ゲリマンダーを同時に実行したら、
単なる小沢派や国民新党、社民党の弱体化だけでは済まされずに、
これまで国民内部の少数意見を反映してきた
ミニ政党やインディーズ候補が選挙に出馬しても、
当選の可能性が確実に奪われてしまう。
さらに、農村山間部や離島の自営業者や貧困層よりも
大都市圏の富裕層に有利な選挙区割りが、
「1票の格差是正」の名目で行われることによって、
小沢一郎が得意としてきた「川上から戦術」の有効性を
奪うことを「消費税翼賛会」の特に官僚達は目論んでいる。
これは長期的には「平成大合併」に匹敵する
地方切り捨て政策であり、
表面的には普通選挙の形だけはとっているものの、
その実質は一部の支配層、富裕層に有利な実質的な制限選挙で
あるという日本のデモクラシーの歴史に対する逆行現象であるとも言える。
さらに、これにみんなの党や幸福実現党の主張する
⑤「一院制」がワンセットになることで、
最終的にナチスドイツの授権法のような
立法府の完全な形骸化、無力化が完成する。
これこそが憲法違反ではないか。
話は戻って、
昨年から「1票の格差」は違憲であるとして
やたらと民事裁判を起こしていた、
いわゆる「一般市民」たちは、
裏のあるおかしな人間(プロ市民)である可能性が高い。
これは検察審査会メンバーにも言えることだが、
ここでは「政治とカネ」の偽善性については
書き出すと長くなるので書かない。
この①から④にかけての
「消費税翼賛会」の動きと闘っている
小沢一郎や亀井静香前金融相の言動は、
戦時中、翼賛体制に反対して鳩山一郎が1941年に結成した
「同交会」に通じるものがある。
この動きには戦前の無産政党3派から、
社民系の西尾末広や片山哲たちも参加していた。
前にも書いたが、
小沢一郎と鳩山由紀夫が対米従属派や官僚勢力と闘うために
社民党と手を組んだから、
彼らは左翼だというのであれば、
翼賛体制と闘うために社会主義者の西尾末広たちと組んだ
鳩山一郎もまた左翼であるという
レッテルを貼らなければいけなくなる。
そうでなければ辻褄が合わない。
共通の目的のために保守政治家と社会主義者が
手を組むという事は、
政治力学的にもままにあることなのだが、
そのよい例としてゴーリズムもそうである。
話が脱線してしまった。
はっきり言って今回の内容は極論だらけだったのだが、
少なくとも「1票の格差」というキレイ事の言葉の裏には、
ゲリマンダーという恐ろしい政治手法への意図が
隠されているということを、
この文章を読んだ後に、頭の片隅にでもとどめておけば、
これから何か事態が起こっても
対処するためのヒントになるのではと思う。
2010年8月3日火曜日
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