2010年7月31日土曜日

消費税増税大連立と中川秀直の動向

7月30日(金)の読売新聞に載っていた、
昨年は党内の主導権争いに一旦敗れた
自民党上げ潮派のリーダーである
中川秀直元幹事長のインタビューを読んで考えた。

中川氏は、前回の衆院選以降、
自派の勢力を温存していたようだ。
その上で、みんなの党との連絡を取り合いながら
復権の機会をうかがっている。
その一端として、
民主党政権瓦解後に自公み政権を作るという構想も
考えているようだ。

ここで、現在(2010年7月末)時点の
日本政治の対立図は、

  民主党vs自民党vsみんなの党

という単純な三つ巴の構図ではなく、

参院選直後の週刊ポストの図に修正を加え、
なおかつ今回の中川氏の発言も考慮に入れると、

(外資容認)       (消費税大連立)     (対米独立派)
みんなの党       民主党七奉行派     民主党小沢派
中川秀直一派 vs  自民党主流派   vs  国民新党
(上げ潮派)      たちあがれ日本       社民党
幸福実現党(仮)     新党改革  ←辻元清美─┘   
                         (離党)
       公明党        共産党
       (中立)     (反米のふりをした
                    対米従属派) 

 ※外資容認派と消費税大連立派に竹中平蔵の影響力あり

と同じ三つ巴でもこう分類できるのではないかと考えた。
中川秀直氏は、民自大連立と小沢派との対立の推移を見計らった上で、
次の行動を起こすだろう。
そのシナリオとしては、
前にも書いた自公み政権工作という方法もあるが、
もう一つ、自民党を割ってみんなの党に合流するという
可能性も考えられる。
そのときに、民主党からも何人か引き抜く可能性がある。
多分こちらの方が中川氏にとっては、
自民党内部にいるよりも権力奪取の近道になるのかもしれない。
彼の発言を読んで、
自公み政権樹立が消費税増税問題がネックとなって
不可能となった場合には、こうなる可能性があると考えた。
もし渡辺喜美総理が誕生した場合、
裏のトップとして副総理のポストに就くのではないか?
ただこれは仮定での話であり、
9月以降の政局によってはまた予測が変わっていく。
そのときはまた政界対立図を書き直すことにしよう。

2010年7月28日水曜日

辻元清美離党と民主党七奉行派の社民党切り崩し

今回の辻元清美前国交副大臣の離党は、
社民党と亀井静香前金融相率いる国民新党の連携の動きに対して、
菅政権の実権を握った七奉行一派が牽制のため
社民党切り崩し工作を行った結果ではないかと
ニュースを観て私は思った。
この推論が正しければ、
辻元女史はすでに鳩山政権にいた時点で
七奉行(特に前原国交相)に籠絡させていた可能性が高い。
逆に保坂展人氏らの方は微動だにしなかった。

今回の件で、社民党の一角は崩れたが、
96年に旧社会党が
旧民主党左派と社民党と新社会党の3つに分裂したときのような
大きな崩れ方はしなかった。
ただ、今後も国民新党と社民党の連携に対して、
民主党七奉行派や大連立を支持するマスコミの側からの
切り崩し工作が仕掛けられる可能性があると考えられる。
また、前にも書いたように
小沢チルドレンの一部も切り崩しにあって
脱落する可能性がある。

そういえば思ったのだが、
辻元女史は地元の選挙区の事情を離党の理由にしていたが、
逆に、浮動票でない固定票である
熱心な支持者の反発を買うのではないのかと
私は思ったのだが、実際のところはどうなのだろうか?

2010年7月25日日曜日

保田與重郎、6羽のかもめ、大連立論を少々

18日(日)の産経新聞に、
保田與重郎生誕100年の記事が載っていた。
主な内容は、保田の経歴や5月に行われたシンポジウムの
模様など。
今では親米保守を通り越して
対米従属派が主導権を握った感のある産経だが、
まだ良心的な民族保守派が残っているらしい。
保田についてはこの前にも触れたが、
私は、彼の著作では一般的に知られている「日本の橋」などよりも、
戦後GHQに追放されてからのほうが
より人間的な深みを感じさせて魅力を感じた。
ここ最近(といっても10年以上たつが)の再評価も、
やはり戦後の「絶対平和論」や「祖国正論」などのほうに
より重心が移ってきているようだ。
ドキュメンタリー映画「自然に生きる」は一度観てみたい。
ただ、何度も書くようだが、
中川八洋氏はどう思っているのだろうか?
まさか次の著書で「産経は極左新聞である」とか
書き出しかねないなぁとも思ってしまった。

ここ最近、空いた時間に少しずつ
1974年にフジテレビで放映された倉本聰作、
「6羽のかもめ」のDVDを観ている。
今日やっと12話目に入った。
週刊文春連載の小林信彦御大のコラムに少し記述されていたので、
興味をもってレンタルビデオで借りて観始めた。
観だしたら、「北の国から」以降の倉本作品とは
また違った味わいがあって面白いドラマだった。
同時代のTBS系の久世ドラマ、
「寺内貫太郎一家」「悪魔のようなあいつ」などとも
違う個性がある。
実生活では本当の叔父と甥である加東大介と長門裕之のやりとりや、
中条静夫の後の「あぶない刑事」にも通じる
コミカルな芝居などが印象的だった。
あと、小野武彦やディック・ミネなど、
いろいろな役で今では故人となった人物や
若い頃のベテラン俳優が登場してくるのが面白い。
ただ、これは久世ドラマにも言えることだが、
こういうペーソスと毒のある作品は、現在の放送コードでは
もう作ることができないのは残念というか、
微妙なさびしさはある。

そういえば、22日(木)の毎日新聞で、
政治部記者によるカッコ付きで大連立を支持する
文章が載っていた。
次の衆院選までの3年間に限り大連立をするべきだという
内容。この記者は公明党寄りの人物のようだ。
これは消費税増税論とはまた違うベクトルからの
主張にはちがいない。
ただし、現実政治はそんなに理屈通りに動くのだろうかという
疑問をいだくのだが。

(追記)
25日(日)の読売新聞で、
たちあがれ日本の与謝野馨氏のインタビューが
掲載されていた。
やはり大連立支持の内容だった。
ただ与謝野氏は自分では小沢一郎氏とは
仲が良いとは言ってはいるが、
現時点での本当のところはどうなっているのか?
そう疑問に思うのは私だけだろうか。

2010年7月22日木曜日

消費税増税推進派の現時点での動き

7月19日(月)付の読売新聞に、
消費税増税推進派の最強硬派であり、
自民党ブレーンでありながら
民主党の事業仕分けに仕分け人として参加している
石弘光放送大学学長が、
「民主と自民、政策協定を」と題して
民主党と自民党は次の衆院選までに
政策協定(いわゆる部分連合)を結ぶべきだと書いている。
これは、大連立までいかなくても
民主と自民の部分連合で消費税増税は可能だという
増税推進派の判断からだと思う。

同じく消費税増税支持の、たちあがれ日本の与謝野馨氏が
民自大連立の方向に傾きだした。
さらに、これに小沢一郎氏まで参加させようと言い出している。
彼の親分である中曽根康弘元首相が、
20日発売のサンデー毎日での政治学者の御厨貴氏との対談で
これと同じことを発言している。
これで思ったのは、やっぱり07年の大連立構想は
中曽根、ナベツネラインから始まったのではないか?
だがしかし、今回の消費税増税には小沢氏は反対している。
もっと書くと、小沢氏は新進党崩壊の頃から
一貫して増税反対の態度をとっているので、
今回の大連立の話には乗らないだろうと予測する。
もし加われば政治家としてぶれたことになってしまう。
それに、今年(10年)は07年と政治状況が違う。
6月の菅クーデターと参院選で
国会内の勢力分布がすっかり変わってしまった。
ただし、小沢チルドレンの一部はこの話に乗せられて
消費税増税支持に寝返る可能性はあるだろう。

話が戻って、
読売新聞の別ページで
三浦展氏が消費税について言及していた。
基本的には増税やむなしという話から始まっているが、
最後の部分で、増税という負担に国民が納得して
耐えられるように、
官僚ではなく国民が税金の使い道を決定できるような
しくみが必要であると結んでいて、
増税反対派にも一定の配慮をした発言をしている。
このようなやり方で、三浦氏は言論人として
世渡りを行っていく可能性が高い。

いずれにせよ、部分連合であろうと大連立であろうと
実際の議席数とは関係なく大多数を形成するという意味では、
今回の状況は、05年の郵政クーデターや
昨年(09年)の衆院選よりも
より政治力学的に悪質な部分を抱えている。

2010年7月18日日曜日

みんなの党の「みんな」の本当の意味とは

先週末あたりから、新聞や雑誌を読んでいて
ずっと頭の中にこびり付いていた事柄がある。
それは、みんなの党の英語名「Your Party」の
複数形の「You」が、日本語の「みんな」と
言葉のニュアンス及び意味がかみ合っていないのでは
ないかという疑問だ。
それでしばらく考えていて、この答えが頭に浮かんだ。
それは、この場合の「みんな」とは、
ファシズムの語源である
「ファショ Fascio,複数形Fasci」(束ねる、結束)と
語感が同じとまでは言わないが、
非常に近いのではないのかという考えである。
この論法でいくと、
「みんな」を「束ねる」+「党」=「みんなの党」に
なるのではないかと考えた。
もっと突っ込んでみて、「みんなの党」とは
「翼賛体制党」という意味もあるのではないのだろうか?

ここで注意するのは、
1つ目に、私は「ファシズム=悪」という
単純な考えの人間ではない。
むしろ、現代の外山恒一氏などの運動には、
社会主義やサンディカリズムから分派した
初期ファシズムに通じる部分があるという意味で
興味すら持っている。
こう言うと中川八洋氏の論理では私も極左扱いされるだろうが...
2つ目に、「みんなの党」と「ファシスト党」では、
イデオロギーや政策において正反対の部分が多い。
ただし、いわゆる同党の「アジェンダ」には
国会議員削減など、
ファシズム化しかねない要素もあるのは事実だ。
だから、ここで言及するのは、
純粋に、「みんなの党」における「みんな」という単語の
ニュアンス及び意味について、
私なりに考えた結果であり、
「お前の妄想ではないか?」と言われればそれまでだ。
むしろ、そう言う人間のほうが精神的に健全ですらある。

ただ気になるのは、
戦前の大政翼賛会も新党運動から始まったという事実である。
新党が乱立(国民同盟、東方会や無産政党の離合集散など)して、
この流れの中から近衛新党の運動を核として
大政翼賛会が生まれた。
その当時の状況と昨年あたりからの状況はよく似ている。
2005年の小泉竹中政権による郵政クーデターの時、
「これは第2大政翼賛会ではないのか?」と思ったのだが、
むしろ、2010年の鳩山政権の崩壊から
今回の参院選にかけて起こった事態のほうが、
より1940年当時の状況に酷似している恐ろしさを感じた。
形式的に、政党が連立を組んだり合併したりしなくても、
全体の合意によって事実上の大多数を形成していることにより、
単なる2大政党制以上に、どのようなおかしな政策でも
立案し実行することができる。

そうだ、大政翼賛会で思い出した。
今回の自民党の谷垣総裁が「いちばん」と
人差し指を突き立てるポーズは、
あのナチスの「ハイル・ヒトラー」なみに胸糞が悪い。
選挙中のTVCMや、
開票時に、党幹部全員で同じポーズをしたのを
テレビで観ていて私ははらわたが煮えくりかえった。

2010年7月16日金曜日

日韓保守派を分断させたのは誰の責任か?そして反小沢翼賛会の動き

7月10日(土)の産経新聞の「緯度経度」欄において、
産経ソウル支局長の黒田勝弘氏が
「日韓保守派の共通目標は」という題で、
日韓の保守派の連帯の可能性について述べていた。
これは虫のよい話ではないのか?

小鳩政権に対する党派的攻撃のための院外団として、
在特会やネット右翼などを煽動し利用したのはいったい誰なのか?
産経新聞や自民党右派などの
反共保守右翼である彼ら自身ではないのか。
これによって、
これまで反北朝鮮や竹島、対馬などの問題において、
主に、韓国内の容共左翼民族派に対する批判で動いていた
日本の保守右翼陣営が、
在特会を利用した事によって、
左右および南北を含めた韓国、北朝鮮全般に対する
冷静さを欠いた敵対感情で暴走してしまった。
それでいて「日韓の保守派連帯は可能か?」というのは
近衛声明ばりに「韓国は相手とせず」と言った
舌の根が乾かないうちに、
「反共のために手を結びましょう」と言うようなものだ。
相手を愚弄している。
18世紀にハプスブルグ家とブルボン家が結んだ
外交革命のような、
これまで敵対していた相手との外交政策の転換というのは
いつの時代でも存在するが、
今回のはあまりにも稚拙すぎてひどい。

在特会は韓国における反日左翼民族派を
裏返ししたような反韓右翼民族派的存在になってしまったようだ。
彼らの暴走を止めない限り、
日韓保守派の連帯は不可能ではないのか。
同時に、台湾独立派との連帯も怪しくなってきた。

話が変わって、
いよいよ検察審査会が動きだした。
これに民主党内ナベツネ派の生方や前原国交相、
「A級戦犯」の千葉法相、
さらに自民党まで加わって小沢攻撃を始めだした。
ここ数日予測した通りだ。
いよいよ菅民主党、自民党、検察司法、マスコミetcの
「反小沢翼賛会」による、
政治的リンチの幕が上がった。

2010年7月15日木曜日

菅直人総理の表情から

参院選挙後のテレビや新聞で報道される
菅直人総理の表情を見て気になったことがある。
彼は予想以上の敗北をしたはずなのに、
敗北感もなくケロリとした表情でいる。
選挙責任者である安住淳氏も全く同様だ。
民主党の地方組織からの悲鳴のような苦情を
まるでひとごとのように語っていた。
まるで最初から負けるのは予定に入っていたようだ。
だから、当初は消費税増税で発言がぶれて
本来なら勝てるはずの戦いに敗北したと思っていたが、
しだいに、菅総理は小沢系の勢力を削ぐために
最初から選挙に負けるつもりでいたのではないのかと
私は思うようになっていった。
だから、参院敗戦でのA級戦犯である千葉法相の処遇も
そのままになっている。
今は菅総理は表面上は神妙な事を言っているが、
腹の中では
次は小沢派の若手たちを根絶やしにして、
最終的には小沢一郎本人を失脚させるための計画を
練っているのではないか?
と邪推してしまった。
多分これが本当だろうけど。

2党大連立より恐ろしい3党大連立

週刊ポストの今週号には、
「菅と自民『消費税翼賛会』悪魔の連立へ」という
見出しが載っていた。
これは、私が参院選前の6月の時点で書いた
「増税大連立」と同じく、
菅体制の民主党と自民党の大連立であり、
これが現状における最悪のシナリオになると
今までは思っていた。
しかし、「アルルの男ヒロシ」こと中田安彦氏が
自身のブログで、
「みんなの党は自民党上げ潮派そのものである」という分析を
行ったので、軌道修正しなければならないと思う。

現状では中田氏の言うことが一番正確だと思うが、
そうなると、「消費税翼賛会」では
菅民主党と自民党が大連立を組み、
みんなの党は小沢派、亀井国民新党と手を組むという予測になるが、
これを軌道修正して、
菅民主党は自民党、みんなの党のうち一方と連立を組み、
もうもう一方と「部分連合」を組むということで、
結果的に事実上の3党大連立が形成され、
小沢派と亀井国民新党が包囲されるという
よりひどいシナリオが考えられる。
現に新聞各紙を読んだら、
与謝野馨氏はテレビ朝日の番組で、
民主と自民の大連立を支持する発言を行ったらしい。
あと、みんなの党の渡辺善美代表も、
「部分連合」なら容認できると言っている。

これでは9月に民主党が割れるどころか、
菅民主党、自民党、みんなの党の3党連合に
小沢派と国民新党が包囲殲滅されるという
最悪の事態を考えなければならないのではないのか?

2010年7月12日月曜日

選挙結果を見て、今後の予測

(その1)
今回の参院選では
民主党がボロ負けにならないまでも負けるという予想が
ネット上で6月頃から飛び交っていたので、
民主党については多分今回は負けるだろうなと
予測はしていた。
ただ、国民新党も巻き添えをくらって
議席を減らした。社民党はなんとか持ちこたえた。
これについては予想が甘かったと思っている。
郵政問題では一番ぶれていないのは
国民新党だった。
菅内閣をささえる七奉行たちはおかしな動きをしている。
新党改革に移った荒井広幸氏はぶれ気味だ。
たちあがれ日本の平沼赳夫氏も同様だ。
やはり亀井静香氏が大臣を辞めた時点で、
民主党との連立を離脱した方が賢明だったかもしれない。
これで、最悪の選択である
民主党と自民党の部分的大連立に対する
歯止めが効かなくなる可能性が高くなった。

(その2)
今回、自民党が勝ったことで、
これからも森喜朗氏に代表されるような、
昔ながらの地方ボスによる党体制が続いていく可能性が高い。
そのために、河野太郎氏に代表される
自民党内改革派の台頭はしばらくは無理だろう。
しかも消費税増税論については、
谷垣総裁自身が、麻生元首相と総裁選で争った頃から
消費税増税を唱えていた経緯があるので、
民主党から自民党に政治的主導権が移っても
消費税増税に走る可能性が遅かれ早かれあると思う。

(その3)
今回、第3党になったみんなの党は元々、
かなりの割合で小泉竹中体制の継承的政策を唱えている。
なので、私個人的には支持できない。
ただし、今回は消費税増税には反対の立場
(多分、埋蔵金の方を重視)のため、
民主、自民の両方の増税論をきらった層の人々が
流れていったのは一理ある。
これは地方の農村部での共産党(都市部ではない)
への票にも通じる現象だったと思う。
これによって一時的には、
消費税増税論が下火になるだろうが、
今回のほとぼりが冷めて
また増税論全般が台頭してきた時の動きによって、
今後の新しい合従連衡が始まる。
それまではしばらく様子見をするしかない。

(その4)
そういえば、今回落選した千葉法相については、
民主党政権の閣僚の中で一番最初に
官僚たちに取り込まれていた可能性が高い。
それで、今年初めからの
検察、警察、司法、マスコミのおかしな小沢鳩山攻撃にも
彼女は全く動かなかった。
ある意味、A級戦犯といっても過言ではない。
だから、落選しても同情できない。

(追記)
千葉法相続投。菅総理と仙谷氏が決めたらしい。
選挙民を馬鹿にした露骨な反小沢人事だと感じた。

2010年7月9日金曜日

政見放送を観るパート6、新党改革、日本創新党編

昨日の政見放送を観た感想。

まず新党改革。
はじめに舛添要一氏のあいさつ。
ついで民主党と自民党の両方を批判、差別化を訴えた。
その後は、政治とカネ、議員および公務員定数削減、
法人税減税など、みんなの党との方向性が非常に近い。
たちあがれ日本とは異なる部分が多いと感じた。
後で荒井広幸氏が言及した消費税増税10%容認を除いたら、
ほぼ同じと言っても過言ではないと思う。
次に荒井氏。
法人税25%削減、みんなが仕分け人、
2020年消費税10%などの提言を聴いていながら、
この人は郵政クーデターで自民党を離れた2005年頃は、
亀井静香氏に近い立場だったが、
どうも新党改革の前身である改革クラブの結党あたりから
改革支持に転向したようだなと感じ取った。
一人おいて、萩原誠司氏と鳩山太郎氏の二氏は、
自民党批判、保守本流を強調、社会主義批判など、
たちあがれ日本(特に平沼系)に近い主張。
最後に舛添氏があいさつをして終了。
全体的に舛添氏は演説と司会が非常に上手い印象。

放送を観ていて感じたのは、
この党は、消費税増税論が異なるだけで
あとはほぼ同じといってもよいくらい、
みんなの党に方向性が近いと思う。
ただし、一部にたちあがれ日本に近い主張に候補者がいるので、
保守第三極の方向性の違いとして、

  みんなの党--新党改革--たちあがれ日本
(小泉改革継承) (中間派)  (道徳保守派、ただし国民新党とは
                       小沢氏との関係で対立)
という単純化したとらえ方ができると考えた。
多分、保守陣営内部の主導権を自民党から
奪取する機会が訪れたら、新党改革とみんなの党は手を組む。
それに、たちあがれ日本も荷担するのではないか?
ただし、消費税増税論次第でこの予測も変わっていく。

次いで日本創新党。山田宏代表の演説。
杉並区の成人式の話、これが長い。説教臭い。
区長時代の実績、財政再建、自助努力論。
ついで、麻生政権時代の自民党と鳩山前政権のバラマキ政策批判。
定額給付金や子ども手当の財源は税金だと主張。
バラマキ政策は不道徳と言う。
これは自助努力論者がよく使うレトリックだ。
この論法で気になるのが、
自助努力論が有効なのは、
しずく垂れ理論が機能している限りだと言うことではないか。
この方法論が破綻して、いくら努力しても貧困だという状況が
小泉政権下で起こり始めた。
いくら公共工事などを行っても貧困層にお金が行き渡らなくなり、
貧乏人の社会的上昇が出来なくなっていった。
この現在の状況を山田氏はどう考えているのだろうか?
それでもやっぱり自助努力だけなのだろうか?
次に三丁目の夕日の時代のインド援助の話。
貧者の一灯の精神について。
全体的に感じたのだが、
この人のやっている事は、政治家の演説ではない。宗教家の説教だ。
宗教政党でもここまで説教臭くはない。
一般国民に対する善意の押しつけ以外のなにものでもない。
善意も度を超したら単なる悪意以上の悪になる。

次に、中田宏氏と齋藤弘氏が登場。
二人共、それぞれ市政、県政時代の実績を強調。
また自助努力論。よほど好きなようだ。
バラマキ批判、国会議員定数削減、規制緩和と、
小泉竹中体制的政策がつづく。
セーフティーネットは守る、地方を守る、
ここは小泉竹中的ではない。
ここで気になったのが、
平成の大合併に対する二人の評価だ。
民主党の原口総務相(小沢派、七奉行派の二股をかけている)は、
この政策は失敗で、地方を疲弊させたとはっきり発言した。
二人とも、この件については放送内では全く言及しなかった。
この党については、
全体的に観ていて不愉快だった。

多分これで比例区の方は出尽くしたなので
これで打ち止めにする。
そういえば当日は用事があって投票出来ないので、
期日前投票を前もって済ませた。
どの政党および候補者に入れたかはここでは書かないが、
これまでの文章を読んだら大体の察しがつくようにした。

2010年7月8日木曜日

政見放送を観るパート5、女性党、社民党編

まずは女性党。
はじめは消費税増税批判からスタート。
その後は他の党と同じような内容(議員の定数削減など)。
途中でルワンダの例を挙げて、
アファーマティブ・アクション支持(女性議員定数)。
この部分だけはフェミニズム的政策。
ただし、この党は
ネット上で他でも指摘されているように、
極左政党というよりも
公明党や幸福実現党などに近い特殊な保守派という印象を、
原色のルックスも含めてこの放送から感じ取った。
(子育て問題、出産休暇、待機児童ゼロ、いじめゼロなど)
あと、統轄本部など、
立候補者の肩書がやたらと大仰なのが気になった。
その部分は宗教政党的ではあるが...

次に社民党、
今回は、福島瑞穂党首と斉藤貴男氏のツーショット。
国民新党とある意味で通じるものがある。
こちらもまずは消費税増税批判。
ただし、理路整然と説明している。
斉藤氏の論理は勝間和代女史のと同じで一理ある。
自殺対策、貧困問題。
名指しはしないものの、枝野、玄葉両氏を批判。
次に、自民党時代の労働政策を批判。
これは、民主党も含めたどの党も言っていない。
その後は障害者自立支援法批判。
そして、普天間基地問題についての党の方針を説明。
最後に沖縄、障害者、高齢者および地方の切り捨ては
やらないと福島党首が発言。
内容的にはまとまっていた。国民新党とは対照的だった。

対談の次は、比例候補の紹介。
一貫して小泉竹中体制批判が続く。
4人が発言したが、
福島党首と保坂展人氏のが力がこもっていた。
最後には消費税増税反対で締めくくった。

政見放送を観るパート3.5、たちあがれ日本編追記

この前観られなかった、
たちあがれ日本の政見放送の前半部分を観た感想。
気がついたことが2つあった。

1つ目は、
これは自民党のと同じだが、
民主党批判をするときに、
小沢派と七奉行派の区別をつけないで
対立する両派を一緒くたにして批判の対象にするので、
話が実情に合っていない。

2つ目、
これは渡部昇一氏にもいえるが、
日教組の名前を挙げてやたらと攻撃対象にする。
このやり方は、今でもシーラカンスみたいに生息していて
「天皇制廃止」をやたらと連呼する左翼の一部と、
ベクトルが異なるだけでやっていることが本質的には同じだ。
これは左右どちら側にも言える事だが、
まず、左翼では、
ゼロ年代中期に貧困、ワーキングプア問題を触媒にして
プレカリアート運動が台頭した時点で、
屋台骨を担う世代の交代が始まった。
同じように、保守、右翼陣営でも
90年代後半の自由主義史観および
新しい教科書をつくる会の運動が興って以降、
世代交代が起こっている。
ただし、小泉政権以降、
この運動に宗教勢力やレイシストが入り込んだ結果、
保守、右翼陣営の体質がおかしく変質していった
という事実がある。

これらの世代交代による
近年における左右の中心勢力の移動の事実を無視して、
単なる馬鹿みたいな
日教組や天皇制に対する現実に即していない
薄っぺらな攻撃は行うべきではないと私は思っている。

2010年7月6日火曜日

政見放送を観るパート4、国民新党、幸福実現党編

昨日観た政見放送についての感想。

まずは国民新党から。
亀井静香と田中康夫のツーショット。
脱ダムの話から始まって、消費税増税批判へ。
田原総一郎との対談でも使われていたが、
国民生活という井戸がカラカラに干上がっているのに
消費税というつるべを入れるのは本末転倒だ論。
まずは井戸の水を増やすべきだと亀井前大臣。
日本がアメリカに金を貸している、
そちらをまずなんとかすべきだとも主張。
その後は、夫婦別姓、外国人参政権について。
参政権よりも、帰化の条件問題から始めるべきという
保守の立場からの民主党左派である菅政権への批判。
しかし、全部言いたいことが言えずにここで時間切れ。
亀井、田中両氏共に
もっとトークのスキルが上手い人物なのだが、
準備不足のためだろうか、消化不良気味だと感じた。

次に比例区候補の紹介。
保守派の立場から良い主張を唱えていた人もいた。
注目の敏いとう氏は、となんで出馬したのか微妙な発言。

公明党は前回と同じ内容なのでとばして...

最後にある意味最注目の幸福実現党の放送。
まずは、石川党首単独で話す。
この党は党首が一番ころころ変わる印象。
最初は、菅政権の最小不幸社会スローガン批判から始まった。
そして、増税などの民主党(七奉行派)批判を並べる。
その中に参議院廃止による一院制論も混ぜていたのが気になった。
これには異論がある。
小泉元首相らも一院制を唱えていたはずだ。
次に、中国、北朝鮮の軍拡などについて
「最後の冷戦」と表現。日米同盟を強化すべき論へ。

ここでは二つの疑問がある。
まず最初は、この党のスタンスが「反共」なら、
日本国内では、「蟹工船」路線の共産党を
真っ先に批判するべきだが、
この党は、民主党、ついで社民党に矛先を向けている。
この党派性があやしく感じられる。
二つ目は、
消費税増税がアメリカの命令によるものだと言う
議論が根強いが、
もしそうだとすると、
日米同盟強化と増税批判は矛盾するのではないのか?
と私は思ったのだが。

そして、「幸福」を何回も連呼。いったい何回唱えたのだ。
これじゃ菅総理に強迫的と言われても仕方がない。

次は、饗庭直道氏と湊侑子という党員の女性が登場。
またまた「幸福」を連呼。
中国の台頭を「国難」と表現。
九条護憲派批判。チベットの例を挙げて対中融和派批判。
たしか鳩山前首相は
ダライ・ラマのチベット自治論支持者だったと思うが、
この点には触れないで民主党を批判。

次は外国人参政権批判。オランダの例を引用。
たしか幸福実現党は、
昨年は、自民党の中川秀直、小池百合子一派と一緒になって
外国人移民を大量に入れて、
日本の人口を3億人にしようなどと言っていたはずだ。
こんなことをしたら、キプロスやフィジー諸島のように
日本でも民族紛争が起こってしまう危険がある。
移民論から転向宣言も何もしないで
外国人参政権批判をするのは非常におかしい。

次に社会主義批判。小さな政府論。
アメリカでの例などを引用。
途中でリバータリアニズムの「最小国家論」のパクリだと感じた。

全体的に、おかしな矛盾点もいくつかあった。
ただし、「反共」「反中国」「反北朝鮮」などを
素朴に信じて、ネオコンおよびマネタリズムの
おかしな点(共産主義よりもある意味左翼的な部分)
を理解できない保守派の人々には
一定の支持を受けるだろうなと感じた。
それでさらに私は不愉快になっていくのだが...

(追記)
そういえば、かつて中川八洋氏は、
著書「正統の哲学 異端の思想」の中で
一院制のもたらす権力集中の危険性について、
フランス大革命時における、一種の三院制としての三部会と
国民議会~立法議会~国民公会の一院制の系譜の対比を
例にして言及していた。
中川氏の言説には学問的におかしな点がいくつもあるが、
この点については的を得るのではないかと思う。
(私は的を得るは正しい表現だと思うので今回もこの表現を使う)

2010年7月3日土曜日

政見放送を観るパート3、たちあがれ日本編

今回、たちあがれ日本の政見放送を観た感想。
途中から観始めたが、
まあ内容的にはさほど目新しいものは無かった。
ただ、与謝野氏、平沼氏の両者ともノドの調子が
あまり良くないようだとテレビを観ながら思った。

次が石原東京都知事の応援放送。
こちらの方が重要。
与謝野氏の後見人の中曽根派と平沼グループと
石原派は今回は一体化している。
本当はこれに中曽根康弘経由で、
故後藤田正晴、佐々淳行の警察人脈も
繋がっているかもしれない。
それで、非実在青少年表現問題のような、
道徳問題のふりをした本当は警察利権の拡大問題が、
石原都政ではやたらと起こるのではないかと推測する。

話が戻って、
石原都知事がニューズウィークの表紙から引用。
これまでは星条旗の星一つが日の丸だったが、
今後は、五星紅旗の星の一つが日の丸になるだろうと、
中国脅威論を唱えているように表面的には見える。
ただし、石原都知事はぎりぎりのところでは
中国と裏で妥協する政治家だ。
オリンピック招致運動のときもそうしていた。
石原都知事はこういう二面性ともいえる判断のおかげで、
昭和40年代から現在まで、
体制派政治家として生き残ってきたといえる。
また話が脱線して、
次かその次の都知事選では
猪瀬直樹副知事を後継候補にして
石原氏自らは院政を敷くのではないのだろうか?
理由はないがふとそう思った。

石原都知事が最後の部分で、
たちあがれ日本という党は本当は増税容認派ではないかとも
とれる発言をしていた。
たしか、与謝野馨氏は元々は増税容認派ではなかったか?

2010年7月1日木曜日

中川八洋の新刊「民主党大不況」について思った

この前、中川八洋氏の新刊
「民主党大不況-ハイパーインフレと大増税」が
書店の新刊の棚に並べられていた。

私はこの本を立ち読みしたが、途中で首をひねってしまった。
本当は私は、90年代後半は中川氏の熱心な読者だったが、
2000年代前半から、中川氏の思想分類に疑問を感じて、
そのうち読者になるのを止めていった。
今回も、貧乏の身で中身のない財布からお金を出して
買って読んだ方がよいのか迷っている。
ただ結論からいうと、
中川氏の「真正保守」「民族派」「極左」の分類について
あまりに独断的すぎて、
学問的客観性を欠いているのではないかと思う。

例えば、福田和也氏および故保田與重郎を
極左に分類しているが、
福田氏は石原慎太郎派と中曽根康弘派の両方に二股を
架けていて、親米保守に分類される。
これが自然な解釈ではないのか?
ただし、彼は習近平次期国家主席と天皇陛下の会見時の
一ヶ月ルール問題では、マスコミに踊らされて失敗した。
それを、保田與重郎に関する本を出したからといって
極左に分類するのは奇異に感じる。
故保田與重郎についても、
彼は、佐藤優氏がたまに言及する権藤成卿と同じ
日本型農本主義者で、
当時の言葉では観念右翼に分類される人物である。
彼は翼賛体制および国家総動員体制には反対している。
戦後には、GHQのニューディーラー達により
公職追放された。
彼が若い頃左翼運動の影響を受けたことを根拠にして
極左に分類するが、やっぱり偏った分類に感じる。
他の人物にも言えるが、
若い頃、左翼思想および運動に傾斜して、
その後、保守に転向した人物はかなりいるはずだ。
それがいけないのであれば、
小林よしのり氏も極左ということになる。
(彼は薬害エイズ問題の頃までは左翼リベラルだった)

第2に、小泉政権の評価について。
中川氏は05年の郵政クーデターなどを支持している。
中川氏の定義では、宮内義彦氏は保守ということになる。
また、05年当時、
ホリエモンは天皇制廃止、共和制樹立を唱えた。
私には国体破壊に見えるが、
中川氏の定義ではこれも保守なのだろう。
外資による公共インフラの私物化、
中産階級の消滅、地域コミュニティーの弱体化などといった
新自由主義的政策
(本当は正確な表現ではないがここでは使用する)は
保守主義に適っているということになってしまう。

第3に、トマス・ジェファーソンは左翼ということに
なっている。
しかし、現代アメリカにおいて彼の歴史的系譜に連なっているのは、
ロン・ポールやティー・パーティー(アメリカ茶会党)などの
反中央集権、反国家統制などを唱える運動であり、
彼らは、現在のアメリカでは右派に分類されている。
それに対して、NYの大資本家の利害を代弁したのが、
ハミルトンたちである。その延長線上にあるのは、
クリントン元大統領やブッシュ前大統領の推し進めた
共和、民主の党派を超えたアメリカの世界帝国化政策だった。
そもそもアメリカ合衆国の本来の国体は、
緩やかな連邦共和国であった。
それが、帝国(覇権国)へと変質していったことに、
日本、アメリカを問わず現代世界のかかえる問題の根幹がある。

中川氏は、アメリカが帝国である事を無条件で支持している。
この点が中川氏と故片岡鉄哉氏の相違点ではないかと思う。
このことが、私には日本の保守の抱えるねじれ現象のように
感じられる。
その他にもこの本についていくつかの疑問点が浮かんだ。
どうやら私は中川八洋氏とは正反対の考えに
たどり着いてしまったようだ。
だから話が最初に戻るが、
この本をお金を出して買おうかどうか今でも迷っている。

政見放送を観るパート2、みんなの党、共産党編

昨日の政見放送を観ながら感じたこと。

みんなの党の主張。
公務員の給料カット、増税批判、
そして、あからさまには言わないが埋蔵金活用論。
微妙なのは、官から民へ、マネタリズム指向、
インフレ的政策、7年以内に道州制導入。
是非については、五分五分だ。
小泉政権の悪い部分も引きずってはいる。
ただし、元々の自民党支持者も含めた保守反増税派の
受け皿として、一定の勢力を確保すると感じた。

共産党。志位和夫はいつもの半笑いの表情。
反米、反資本家を訴えている。
ただし、鳩山前政権に対しては、
自民党、司法、マスコミなどと一体になって
アメリカの駒として小沢たたきに動いたことに関しては
一切触れない。
末端の党員はまじめだが、トップは今では公明党よりも
政治的にはおかしな動きをする。
蟹工船路線。大企業および自民、民主批判。
ただし極めて党派的に動く。
さらに例えて言うと、志位体制の共産党の特徴は、
90年代以降の北朝鮮が、
いつもは悪の枢軸の一角のふりをしながら、
日本や韓国において(政権党の区別を問わず)
対米従属から脱却する動きを見せ始めたとたんに、
タイミングよく事件を起こすのによく似ている。

(追記)
後日、自民党の谷垣総裁単独の政見放送を観た感想。
民主党を批判はしている。
しかし、七奉行派と小沢派の対立には触れていないので、
両派の相違点(増税と反増税など)が
ごちゃまぜになっている。
その後、財政再建について語り始める。
民主党の玄葉光一郎政調会長(七奉行派)と
言っていることが非常に似ている。
放送を観ながら、
このままでは本当に選挙後に増税大連立になる
可能性が高いのではと私は感じた。

(さらに追記)
共産党トップの訪米時に、
オバマ大統領のほかには誰と会ったのだろうか?
日本共産党のアメリカでの受け皿はどの政治勢力か気になる。